1. 💡 作品の原文
ききしより心ぞとまる山里の
雪の深さに道は絶えぬる
2. 📖 原文を現代文に直したもの
人づてに聞いていた時から心が惹かれていたこの山里の
積もった雪の深さのために、そちらへ通う道は途絶えてしまいました。
3. 🎭 AI文豪による魂の超訳

風の噂に聞いていた時から、私の心がずっと離れなかったあの山里。
いざ尋ねようとした矢先、降り積もる白い雪の深さに、あなたのもとへと続く道はすっかり閉ざされてしまいました。
けれど、途絶えてしまったのは物理的な路(みち)だけであり、私の想いではありません。
行き交う人も絶えた静寂の中で、深く積もる雪を見つめていると、あなたを想う心ばかりが、いっそう深く静かに澄み渡っていくように感じられるのです。
4. 🔍 時代背景と詩の核心

この歌は、紫式部の家集である『紫式部集』に収められた一首です。
親しい相手のもとを訪ねようとしたものの、深い雪によって道が途絶えてしまったという状況を詠んだものですが、ここには単なる「行き来の不便さ」を超えた、紫式部特有の繊細な情緒が宿っています。
平安時代の王朝文学において、「山里」や「雪」は寂寥(せきりょう)の象徴であり、同時に浮世の喧騒から離れた孤独と美しさの領域でもありました。
『源氏物語』の宇治十帖などにも通じることですが、紫式部は静かな山里や、人とのつながりが遮断された空間に対して、どこか深い愛着と郷愁のようなものを抱いていたと考えられます。
「道は絶えぬる」という結びは、一見すると失望のようでありながら、どこかその孤立を静かに受け入れ、雪の深さに心を委ねているような静けさがあります。
人と人との交流が途絶えたその時こそ、心の中に秘めた相手への想いがくっきりと浮き彫りになる——。
静寂が広がる冬の景色の中に、紫式部の優しくも孤高な心のありようが、しんしんと響いてくるような名歌でございます。