【解説】清少納言『おそろしきもの(続き)』が映し出す、平安の女性の静かなる畏怖

清少納言

おそろしきもの。
雷の鳴る。
また、夜の、暗き。

恐ろしいものである。
雷が鳴ること。
また、夜が暗いこと。

文豪AI
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世の中のさまざまな物事に目を向け、心動かされた瞬間を鮮やかに切り取った『枕草子』の一節です。今回のテーマは、私たちが本能的に身をすくませてしまう「おそろしきもの」、すなわち恐怖の対象です。雷が激しく鳴り響く轟音と、一切の光が奪われる深い夜の闇。清少納言は、これらをただ怖いと片付けるのではなく、人間の無力さを思い知らされる自然の圧倒的なスケールとして、静かに見つめています。華やかな宮廷生活の裏側で、彼女がふと感じた根源的な畏怖の念が、この短い言葉の中にひっそりと息づいているのです。

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平安時代という王朝文化が花開いた優美な時代にあっても、人々をとりまく自然は、現代とは比較にならないほど強大で、恐ろしい存在でした。科学的な解明など遠い昔のこと、激しい雷は神仏の怒りそのものであり、夜の闇は未知の魔物が潜む異界そのものであったことでしょう。宮仕えという緊張感漂う日々の中で、才気煥発に振る舞っていた清少納言であっても、ひとたび自然の猛威や漆黒の闇に包まれれば、誰もが等しく小さなひとりの人間へと戻ります。この短い描写の背後には、理屈を超えた恐怖の前で、思わず息をひそめる人間本来の純粋な素顔が隠されているのです。

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